皆さんは「樟脳」という名前を聞いたことがあるだろうか。

昔、着物や古文書の防虫剤として用いられた「くすの木」由来の防虫剤である。

そう聞くと、瞬間的にナフタリンを連想する方も多いだろうが、ナフタリンはコールタールから抽出される結晶で、いわゆる合成樟脳、或いは化学樟脳と呼ばれるものであり、本来の樟脳とは、その由来が全く異なる。

本来の樟脳は、くすの木のチップを熱い水蒸気で蒸し、その折にチップから出てくるカンフル成分を冷却し、更に油分と分離して抽出するもので、純粋に植物由来のものである。

そもそも樟脳が日本に伝わった起源については諸説あるが、あの正倉院御物を虫の害から守ったのも樟脳である。

この樟脳を日本で初めて製造したのは鄭宗官という朝鮮人であり、島津義弘公により慶長の役の際に半島から連行された一群の中の一人である。

樟脳の効能については、既に島津家においては熟知していたと思うが、彼の来日により、いよいよ薩摩での本格的樟脳生産の礎を築くのである。

現在、私たちが暮らす美山の里が日本で最初の製造地となった。

やがて、樟脳は薩摩藩にとり貴重な財源となり、「東洋の白銀」と呼ばれるようになる。長崎の出島からも大量の「薩摩樟脳」がヨーロッパに輸出されており、海外でも「サツマカンフル」は大変珍重されたのだ。

私が60歳を迎えた時、この事業の復興を思い立ち、多くの仲間の協力を得てこの度始動することとなった。

父が生前、専売公社と協議して「樟脳製造発祥の地」という大きな記念碑を建てた事も大切な要素である。

友の会の皆様には是非、この正倉院御物を守った天然の樟脳の香りで、暮らしの中の大切な衣類の保護、玄関やトイレの消臭、そしてお部屋のリラクゼーションのアイテムとしてお試し頂きたいと思います。